複素積分問題5

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※複素積分の一覧はこちらの後半部分

複素関数の解説と問題の一覧ページ。問題の方は基本レベルから応用、発展まで20問ほどありますので、ぜひ挑戦してみてください。複素積分問題は複素数の性質を利用して実関数積分を解くというものです。

 

問題

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{\cos x}{x^2+a^2}dx\)

 

積分問題botの86番の解説です。

こちらの問題の積分範囲を倍にしたもの。

重要問題なので少し変えて複素関数の記事として再掲。

 

解答

 

 

留数定理より

 

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{e^{ix}}{x^2+a^2}dx+\displaystyle\int_{C_{2}}\displaystyle\frac{e^{iz}}{z^2+a^2}dx=2\pi i\times(留数和)\)

 

変形すると

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{\cos x}{x^2+a^2}dx+\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{i \sin x}{x^2+a^2}dx+\displaystyle\int_{C_{2}}\displaystyle\frac{e^{iz}}{z^2+a^2}dx=2\pi i\times(留数和)\)

 

結論から言うと、左辺の第二項と第三項が\(0\)になり、右辺が計算できることから、求めたい左辺の第一項が計算できるというわけです。

 

左辺第二項

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{i \sin x}{x^2+a^2}dx\)は奇関数なので\(0\)

 

左辺第三項

これは0になることを以下に示します。

\(|f(z)|\) を上から押さえます。半円経路上では\(|z|=R\) が成り立つ。

 

三角不等式から

\(|z^2+a^2|\geq |z|^2-a^2=R^2-a^2\)

 

また、

\(|e^{iz}|=|e^{i(x+yi)}|=|e^{ix-y}|=|e^{ix}||e^{-y}|=e^{-y}\leq 1\) (\(y\geq 0\)なので)

 

これら二つから、次のような不等式が成立。

 \(|f(z)|=\biggl|\displaystyle\frac{e^{iz}}{z^2+a^2}\biggr|\leq \displaystyle\frac{1}{R^2-a^2}\)

 

よって

\(|\displaystyle\int_{C_{2}}f(z) dz|\leq \displaystyle\int_{C_{2}}|f(z)||dz| \leq \displaystyle\frac{\pi R}{R^2-a^2}→0\)        \((R\to\infty)\)

※\(dz=\pi R\) 半円なので

 

右辺

上半円の中に含まれている極(\(R\to\infty\)にするため上半分の極は全て経路内になる)は、 \(z=ia\) なので、この値は

 

\(2\pi i\times\biggl[\displaystyle\frac{e^{iz}}{(z^2+a^2)’}\biggr]_{z=ia}\)\(=2\pi i\times \displaystyle\frac{e^{-a}}{2ia}=\)\(\displaystyle\frac{\pi}{ae^a}\)

 

結果

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{\cos x}{x^2+a^2}dx+\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{i \sin x}{x^2+a^2}dx+\displaystyle\int_{C_{2}}\displaystyle\frac{e^{iz}}{z^2+a^2}dx=2\pi i\times(留数和)\)

にすべて代入すると

 

\(\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\displaystyle\frac{\cos x}{x^2+a^2}dx=\displaystyle\frac{\pi}{ae^a}\)

となり、答えが得られた。

 

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