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三平方の定理
三平方の定理とは、直角三角形において斜辺を$c$、それ以外の辺を$a,b$と置いたときに
$$a^2+b^2=c^2$$
となる関係式のことをいいます。
「ピタゴラスの定理」とも呼ばれるが、ピタゴラスが発見したのかどうかは定かではないらしいです。
・指数の一般化 ⇒ フェルマーの最終定理(ワイルズが証明済み)
・角度の一般化 ⇒ 余弦定理
証明
証明は数多くのものがありますが、有名なものを紹介します。
両方とも正方形として上のような図を考える。小さな正方形の一辺を$c$としておく。
① 大きな正方形の面積$=(a+b)^2$
② 小さな正方形の面積$=c^2$
③ 4つの三角形の合計面積$=2ab$
「①=②+③」なので、$=(a+b)^2=c^2+2ab$となり、これを整理すると
$a^2+b^2=c^2$となって三平方の定理が導かれた。
一般解
方法1
以下の有名等式を利用する。
$$(ad-bc)^2+(ac+bd)^2=(a^2+b^2)(c^2+d^2)$$
三平方の形を考えるので、右辺を二乗の形にしたい。→\((a^2+b^2)=(c^2+d^2)\) となるように変数を取ってみよう。
結論から言うと\(a=d=m,b=c=n\)とするとうまくいく。(\(ad-bc\neq 0\)であるべき要請もある)
\((m^2-n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2\)
\(x=m^2-n^2\)、\(y=2mn\)、\(z=m^2+n^2\) (ただし、\(x,y,z\)は自然数)
三平方の定理の一般解。
方法2
上の図のように設定。(\(\theta\)は鋭角)
\(t=\tan\displaystyle\frac{\theta}{2}\)とおき、次のように考える。
直線は\(y=tx+t\)、円は\(x^2+y^2=1\)と書け、交点の座標は
$$\left(\displaystyle\frac{1-t^2}{1+t^2},\displaystyle\frac{2t}{1+t^2}\right)$$
交点の座標は\( (\cos \theta,\sin \theta)\)とも表せるので
$$(\cos \theta,\sin \theta)=\left(\displaystyle\frac{1-t^2}{1+t^2},\displaystyle\frac{2t}{1+t^2}\right)$$
\( (\cos \theta,\sin \theta)\)の有理点は無数に存在するので、
\(\cos \theta=\displaystyle\frac{x}{z},\sin \theta=\displaystyle\frac{y}{z}\)とすると$(x,y,z)$ の組は無数に存在する。
$\biggl(\displaystyle\frac{x}{z}\biggr)^2+\biggl(\displaystyle\frac{y}{z}\biggr)^2=1\Rightarrow x^2+y^2=z^2$ は無数に存在。
一般解を求める。\(t=\displaystyle\frac{n}{m}\) (\(n<m\))として、これを代入。
$$\displaystyle\frac{x}{z}=\displaystyle\frac{m^2-n^2}{m^2+n^2},\displaystyle\frac{y}{z}=\displaystyle\frac{2mn}{m^2+n^2}$$
\(x=m^2-n^2\)、\(y=2mn\)、\(z=m^2+n^2\) (ただし、\(x,y,z\)は自然数)
余弦定理
余弦定理と三平方の定理の関係性。
\(\theta\)が直角
\(\theta=\displaystyle\frac{\pi}{2}\) のとき、\(\cos \theta=0\) となる。
余弦定理は\(a^2=b^2+c^2\)となり、これは三平方の定理そのもの。余弦定理は三平方の定理の一般化とわかる。
\(\theta\) が鋭角
\(\cos \theta>0\) なので \(a^2=b^2+c^2-2bc\cos \theta<b^2+c^2\) 。
\(\theta\)が鋭角の時に\(a^2<b^2+c^2\)という関係が成立するのは余弦定理から導かれる。
\(\theta\) が鈍角
\(\cos \theta<0\) なので \(a^2=b^2+c^2-2bc\cos \theta>b^2+c^2\) 。
\(\theta\)が鈍角の時に\(a^2>b^2+c^2\)という関係が成立するのは余弦定理から導かれる。