[mathjax]
コンプトン散乱
コンプトン散乱とは
光子の粒子性を示す実験。散乱によって光の波長が伸びる。
計算
光子が電子にぶつかって散乱する状況を考える。光子を粒子とみなして計算する。
・入射する光の振動数 \(\nu\)
・散乱後の光の振動数 \(\mu’\)
・電子の質量 \(m\)
・散乱後の電子の運動量 \(p’\)
・光子の散乱角 \(\theta\)
・電子の散乱角 \(\phi\)
・エネルギー保存の式
\(h\nu+mc^2=\sqrt{(p’c)^2+(mc^2)^2}+h\nu’\) \(\cdots\) ①
・運動量保存の式(進行方向)
\(\displaystyle\frac{h\nu}{c}=\displaystyle\frac{h\nu’}{c}\cos\theta+p’\cos\phi\) \(\cdots\) ②
・運動量保存の式(垂直方向)
\(0=\displaystyle\frac{h\nu’}{c}\sin\theta-p’\sin\phi\) \(\cdots\) ③
②と③から\(\phi\)を消去すると
\(h^2\nu^2+h^2\nu’^2-2h^2\nu\nu’\cos\theta=p’^2c^2\) \(\cdots\) ④
①を変形すると
\(p’^2c^2=(h(\nu-\nu’)+mc^2)^2-m^2c^4\)
\(=h^2(\nu-\nu’)^2+2mhc^2(\nu-\nu’)\) \(\cdots\) ⑤
④⑤から\(p’^2c^2\)を消去すると
\(-2h^2\nu\nu’\cos\theta=-2h^2\nu\nu’+2mhc^2(\nu-\nu’)\)
\(mc^2(\nu-\nu’)=h\nu\nu'(1-\cos\theta)\)
\(\displaystyle\frac{\nu}{\nu’}-1=\displaystyle\frac{h^2\nu}{mc^2}(1-\cos\theta)\)
・\(\nu’\)について解いて変形すると
\(h\nu’=\displaystyle\frac{h\nu}{1+\displaystyle\frac{h\nu}{mc^2}(1-\cos\theta)}\)
・\(c=h\nu\)を使って波長の関係式に書き直すと
\(\lambda’=\lambda+\displaystyle\frac{h}{mc}(1-\cos\theta)\)
つまり、入射した光より散乱した光の方が波長が長くなる。コンプトン散乱によって波長が伸びる。