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速度の合成則
私たちが普段生活している範囲での速度の合成は直感的にも知っている通り
\(V=v_{1}+v_{2} \)
となります。しかし、\(v_{1}\)や\(v_{2}\)が光速に近づくと相対論的な効果が働き上の式が成り立たなくなってきます。
相対論的な効果を考慮した場合の速度の合成則は以下のようになります。
\(V=\displaystyle\frac{v_{1}+v_{2}}{1+\displaystyle\frac{v_{1}v_{2}}{c^2}}\)
非相対論的な場合
(\(v_{1},v_{2}<<c\))を考えると、最初の式に一致することが分かります。
光速の場合
\(v_{1}=c\)としてみると(\(v_{2}\)でも良いです)
$$V=\displaystyle\frac{c+v_{2}}{1+\displaystyle\frac{c v_{2}}{c^2}}=c$$
となり、光速度が一定となっている。
光速を超えない
光速以下の物体を合成しても光速を超えることはない。これは、\(v_{1},v_{2}\leq c\)のとき
\(c-V=c-\displaystyle\frac{v_{1}+v_{2}}{1+\displaystyle\frac{v_{1}v_{2}}{c^2}}\)\(=\displaystyle\frac{c^3+v_{1}v_{2}c-v_{1}c^2-v_{2}c^2}{c^2+v_{1}v_{2}}=\displaystyle\frac{c(c-v_{1})(c-v_{2})}{c^2+v_{1}v_{2}} \geq 0\)
となることからわかる。また、\(v_{1}\)が逆向き(負)だったとしても「\(c^2+v_{1}v_{2}\)」は正にしかなりえないので光速を超えることはない。
計算
\(V=\displaystyle\frac{v_{1}+v_{2}}{1+\displaystyle\frac{v_{1}v_{2}}{c^2}}\) の計算をしていきます。
\(v_{2}\)で動いている\(M\)系から、\(v_{1}\)の物体を投げたと考える。
これを静止している\(S\)系から見た速度を\(V\)とおく。この関係を求める。
ローレンツ変換
$$\left(\begin{array}{c} t^{\prime} \\ x^{\prime} \\ y^{\prime} \\ z^{\prime} \end{array} \right) =\left(\begin{array}{cccc} \gamma & -\displaystyle\frac{\gamma v}{c^2} & 0 & 0 \\ -\gamma v & \gamma & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1\end{array}\right)\left(\begin{array}{c} t \\ x \\ y \\ z \end{array} \right)$$
\(x\)方向にのみ速度\(v_{2}\)で動いていると考えているのでローレンツ変換は以下のようになる。
\(t_{1}=\gamma\left(T-\displaystyle\frac{v_{2}}{c^2}X\right)\)
\(x_{1}=\gamma(X-v_{2}T)\)
※下の式の逆変換は相対速度を逆にしたと考えて、\(X=\gamma(x_{1}+v_{2}t_{1})\)
よって
\(V=\displaystyle\frac{dX}{dT}=\displaystyle\frac{d}{dT}(\gamma x_{1}+\gamma v_{2} t_{1})=\gamma\displaystyle\frac{dx_{1}}{d t_{1}}\displaystyle\frac{d t_{1}}{dT}+\gamma v_{2}\displaystyle\frac{d t_{1}}{dT}\)
\(=\gamma(v_{1}+v_{2})\left(\gamma-\displaystyle\frac{v_{2}\gamma}{c^2}\displaystyle\frac{dX}{dT}\right)=\gamma^2(v_{1}+v_{2})\left(1-\displaystyle\frac{v_{2}\gamma V}{c^2}\right)\)
これをVの式として書き直すと以下の速度の合成則が得られる。
$$V=\displaystyle\frac{v_{1}+v_{2}}{1+\displaystyle\frac{v_{1}v_{2}}{c^2}}$$