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星の等級に関する知識及び計算式等を紹介します。
見かけの等級、絶対等級
見かけの等級……地球から見た時の明るさで決める。
絶対等級……10パーセク(32.6光年)離れた位置での天体の明るさで決める。
パーセクについて
※\(1\)パーセクがおよそ\(3.26\)光年。
等級の歴史
紀元前150年ごろ
ヒッパルコス(ギリシャ)
肉眼で1から6等星まで振り分ける。
18世紀末
ウィリアム・ハーシェル
等級の大きさは明るさの二乗に反比例して暗くなることを発見。
ジョン・ハーシェル
1等星は6等星の100倍の明るさであることを発見。
19世紀
ポグソン
当時、いろいろな尺度が乱立していた所で、等級の定義を決める。ハーシェルの発見をもとに1等星と6等星の明るさの差が100倍となるような明確な定義を与える。現在でもこれが使われている。
数式
ポグソンの公式
二つの星がある。
星1……明るさ(フラックス) \(F_{1}\) 、\(x\) 等級。
星2……明るさ (フラックス)\(F_{2}\) 、\(y\) 等級。
この時、以下の等式が成立。これより、基準を決めると全ての星の等級が決まる。
\(x-y=-2.5\log_{10} \biggl(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}\biggr)\)
導出
定義より、1等級異なると明るさは\(100^{\frac{1}{5}}\)倍になる。
このように考えると、\(m\)等級異なると明るさは\(100^{\frac{m}{5}}\)倍になる。
つまり、
\(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}=100^{\frac{y-x}{5}}\)
\(\log_{10}\biggl(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}\biggr)=\displaystyle\frac{2}{5}(y-x)\)
変形すると
\(x-y=-2.5\log_{10} \biggl(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}\biggr)\) となる。
絶対等級、見かけの等級
本来の距離と10パーセクの距離でポグソンの公式を利用。
星1(見かけ、本来)……フラックス \(F_{1}\) 、\(m\) 等級。距離\(d\)パーセク
星2(絶対、仮想)……フラックス \(F_{2}\) 、\(M\) 等級。距離10パーセク
\(m-M=-2.5\log_{10} \biggl(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}\biggr)\) ……①
\(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}\) を考える。フラックスは距離の二乗に反比例するので、
\(\displaystyle\frac{F_{1}}{F_{2}}=\biggl(\displaystyle\frac{10}{d}\biggr)^2\) となり、これを①に代入すると、
\(m-M=-2.5\log_{10} \biggl(\displaystyle\frac{10}{d}\biggr)^2\)
\(M-m=5\log_{10} \displaystyle\frac{10}{d}=5(\log_{10} 10-\log_{10} d)\)
よって、
\(M=m+5-5\log_{10} d\)
例題
例えば、絶対等級が\(1.2\)等、見かけの等級が\(-1.3\)等、この時の星の距離を求める。
\(m=-1.3\)、\(M=1.2\)を代入して計算すると
\(\log_{10} d=\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(d=\sqrt{10}\)(pc)だとわかる。
おまけ
具体的な星の等級。
太陽…… \(-26.7\) 等星
満月…… \(-12.7 \)等星
シリウス…… \(-1.46\) 等星
ベガ…… \(+0.03\) 等星 (変光するので標準的な明るさ)